色鉛筆には、油性色鉛筆と水彩色鉛筆の2種類があります。
子供の頃使っていた馴染みのあるトンボ色鉛筆など、通常の色鉛筆が油性色鉛筆です。
私が使用しているのも油性色鉛筆で、大人向けのものは、描き心地が柔らかく、鮮やかな発色と伸びの良さが特徴です。
一方、水彩色鉛筆とは比較的新しい画材で、通常の色鉛筆のようにも使え、水で伸ばすことができ水彩画のようにも描くことができるもの。
ここでは私の使う油性色鉛筆について、その選び方や違いをお話します。
✔︎ 選ぶときの基準にしてほしい4つのこと
- 好きな画家が使用しているものを使う
好きな作風の画家がいるならば、その使用画材に倣うと近い作品作りがしやすいといえます。 - 好みのデザインで選ぶ
長くだいじに使うためには、お気に入りになるのが大事。デザインで選ぶのもひとつの買い方。 - 通える店舗で単色売りされている
これが実は大切。色鉛筆は使っているとよく使う色ばかりがなくなっていき、単色買いして補充することになります。また、持っていない色を買い足したい時にも、試し描きができる画材店などを見つけておくと良いです。 - 限界性能で選ぶ
これは初めての色鉛筆、ではなく描き慣れた方に対してですが、
その色鉛筆でしかできないことを基準に選ぶべきです。
この点については、さいごにご説明します。
油性色鉛筆のいろいろファーバーカステル(ドイツ)
ポリクロモス
最高級色鉛筆のひとつ。工業製品としての鉛筆を生んだのがファーバーカステル社。
描き味はやや硬めで、細密画にも適しており多くのプロ作家が愛用。
ドイツの森をイメージしたシックで上品な色合い、しっとりと紙に馴染む筆感。
ファーバーカステル油性色鉛筆商品として、緑(プロユース)・青(セミプロ、ホビーユース)・赤(キッズ)のラインナップがあり、大人の絵描きとしての用途には、ぜひとも最上級グレードの緑色、ポリクロモスがおすすめ。
筆 感:柔らかい ├ - - + ★ - ┤ 硬い
色 調:ソフト ├ - ★ + - - ┤ ビビッド
得意色:グリーン・ブラウン系
(全120色 1本¥300)
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リラ(ドイツ)
レンブラント ポリカラー
ファーバーカステルに並ぶ、最も古い鉛筆商標のひとつのリラ。
描き味は硬すぎず柔らかすぎず、幅広い画風に対応できます。
鮮やかな色味と落ち着いた色味がバランスよく配色されており、自然で深みのある作品作りが可能です。
特徴的なのは木目柄の芯。
見た目の美しさだけにとどまらず、描きやすく手に馴染みます。
筆 感:柔らかい ├ - - ★ - - ┤ 硬い
色 調:ソフト ├ - - ★ - - ┤ ビビッド
得意色:レッド・ブルー系
(全72色 1本¥280)
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ベステック(日本)
カリスマカラー
アメリカ・ニューウェルラバーメイド社製造の顔料を使い、日本の技術で最高品質に仕上げた色鉛筆。
伸びのあるクレヨンのような柔らかい描き心地。油性色鉛筆の中でももっとも柔らかいもののひとつ。
その鮮やかな発色と濃厚な色合い、柔らかい筆感により、重ね塗りや混色に向き、まるで油彩画のような表現も可能。
私が使用しているのはこのカリスマカラーです。
色 調:ソフト ├ - - + - ★┤ ビビッド
得意色:原色系
(全115色 1本¥230)
カリスマカラーは国外ではプリズマカラーと呼ばれています。その違いはこちら。
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ホルベイン(日本)
アーチストカラー
明治創業の老舗総合画材ブランドのホルベイン社製。
アーチストカラーが生まれたのは1993年。数々の信頼ある絵具を作り続けてきたホルベインならではの安心して使える色鉛筆。
描き心地はやや柔らかめ。明るくくっきりとした鮮やかな発色で、そのソフトな描き心地は混色にも向き、色鉛筆を最初に買う人にとって適している、ニュートラルな色鉛筆といえます。
また、水彩画のような表現をできるアーチストカラー用のぼかし液「メルツ」があります。
筆 感:柔らかい ├ - ★ + - - ┤ 硬い
色 調:ソフト ├ - - ★ - - ┤ ビビッド
得意色:オールラウンド
(全150色 1本¥230)
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ダーウェント(イギリス)
アーチスト
グラファイトが発見されたイギリスに起源を持つダーウェント。「ピーターラビット」「スノーマン」など多くの絵本はダーウェントの色鉛筆で描かれています。
描き味はやや柔らかめで、色芯が4.0mmと他社より太く、豊かなドローイング表現が可能です。淡く美麗な色合いで、幅広い作風に対応できます。
やはり特筆すべきはその太芯。線しか描けない色鉛筆において、その表情を豊かにできる太さは何よりも魅力です。
色 調:ソフト ├ - ★ + - - ┤ ビビッド
得意色:ブルー・ブラウン系
(全120色 1本¥260)
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三菱鉛筆(日本)
ユニカラー
世界一の鉛筆を目指し高級鉛筆uniを生んだ三菱鉛筆が、プロフェッショナル志向の色鉛筆として製造したのがユニカラー。
描き味は硬めな上に、4.0mmの堅牢な太芯。それは筆先を鋭利に尖らせての描画を可能にし、細密画にも向きます。また硬さ故に塗り過ぎることがないので、淡いタッチを得意とします。
自然で精緻な色調の表現が可能な、どの色調にも偏りのないクリアな美しさ。
筆感に癖がなく、買い求めやすい価格設定でもあり、色鉛筆画ビギナーに最適です。
筆 感:柔らかい ├ - - + - ★┤ 硬い
色 調:ソフト ├ - ★ + - - ┤ ビビッド
得意色:オールラウンド
(全100色 1本¥150)
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色鉛筆になじむことから
最初に何色を買えばよいのか?とは多くの新規購入者が悩むポイントです。そんなときは気になるメーカーの24色程度を購入してみましょう。
まずは色鉛筆に慣れることが大事です。描き試しているうちに、色鉛筆の特徴や自分の好みがわかるようになり、そのときがきたら、あらためて自分にあった色鉛筆を探してみるとよいと思います。
お気に入りの色を探そう
色鉛筆に慣れてくると、好きな色や使いやすい色が見つかりはじめます。メーカーによって得意にしている色調というものがあり、自分の好みの色が充実しているものを使ってみるとよいでしょう。
また、混色でつくるのが難しい色が出てきたなら、その色があるメーカーから買い足せば、作画がスムーズになるかもしれません。
ただし、複数のメーカーの色鉛筆を併用するときには、その相性も考慮に入れる必要があります。
その色鉛筆でしかできないことを見つけよう
たとえば、楽器にも高級なものと安価なものがありますが、優れた奏者であれば、安価なものでも、素人では聴き比べが難しいほどに、素晴らしい演奏ができてしまいます。
しかし、入門者が安価なもので始めると、正しく学ぶことができず上達も遅れてしまいがちです。
色鉛筆も同じ。100均ショップで買えるようなものでも、描き手に技術があれば、絵として成立するほどには描けるものなのですが、入門者が使うと上手くいかないどころか、成長の妨げにさえなってしまうのです。
「描き比べレビュー」的なものもあちこちで見かけますが、それは軽く触ってみた感じの、ファーストインプレッションとしての比較であり、技術のある描き手であれば、それぞれの色鉛筆の特性をふまえて誤差修正することで、ある程度近い仕上がりに近づけることができます。
なので大事なのは、その色鉛筆でしかできないこと。
どれだけ鮮やかに色をつくれるか、厚く乗せられるか、淡く塗ることができるか、細密に描けるか、好きな色があるか、などなど。
私が使っているカリスマカラーにも、カリスマカラーでしかできないことがあり、メインの使用画材として選択しています。。
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ここで紹介した6種は、世界中に数ある色鉛筆の中で“特に優れたもの”ではなく、冒頭でお話した“国内の店舗で単色買いがしやすい”ものから選んでいます。
昨今では、通販も充実しており手軽に買うことができますが、正しく欲しい商品にたどり着きにくい場面もあります。
歴史ある確かな商品を選べたならば、どれも長く使える素晴らしい画材であることは間違いありません。
美術画材としての色鉛筆は、描き心地も別格で、絵描きライフをより楽しいものに引き上げてくれます。