色鉛筆画家のカケラ

色えんぴつで絵を描いて暮らす画家の雑記帖 

カリスマカラーとプリズマカラーの違い

私が使っている色鉛筆は“カリスマカラー”ですが、
プリズマカラーとかイーグルカラーとか、呼称がいくつもありどれを選べばいいかわかりにくいです。でも実はみんな同じ色芯が使われています。
それらの違いと、つまりはカリスマカラーを使って欲しいその理由をお話します。

 

プリズマカラー
カリスマカラー


濃厚で艶のある発色と、クレヨンのように伸びる柔らかな描き心地は、表現を豊かにし混色が容易で、多くのプロ作家に愛用されています。
そのプリズマカラーとは、海外でのカリスマカラーの呼び名。
現在、日本国内でのみカリスマカラーは販売されており、販売元はベステック、日本製。

 

ベロールカリスマカラー こちらは昔のベロール カリスマカラー 。今の商品名は、この時のものに由来しています。

元は木目柄だったようです。そして後端が斜めになっているのが特徴的で、イギリス製。
当初はアメリカとイギリスで製造されていました。

f:id:kazuyuki_yae:20200829220243j:plain日本ではイーグルカラーとして売られていたことも。どちらも知る人には懐かしいはず。



そしてアメリカではプリズマカラーとして売られ、のちにサンフォード社がベロール社を買収し、と複雑な変遷を辿り今に至るのですが、

詳細は大人の事情として、
現在市販されているベステック カリスマカラーとサンフォード プリズマカラーについて、
その違いを我々ユーザー視点でお話ししていきます。

 

先述の通り、カリスマカラーは日本で販売されているものですが、
国内でも通販などで探すと買うことができる、プリズマカラーとは?

 色芯はどちらも同じ
呼称は違っても、中に入っている芯は同じで、アメリカ・ニューウェルラバーメイド社製。もちろん描き心地も色味も変わりません。

 値段が違う
国内でも、通販など探し回ればプリズマカラーを買うことができます。そして安いところではその売値はカリスマカラーの6割前後。

 色の数が違う
カリスマカラー全117色に対して、プリズマカラーは全150色です。もしかするとプリズマカラーにしかない色に、あなたの好きな色があるかもしれません。


となると、プリズマカラーは良いこと尽くしのようですが、
ここからはそのデメリットを。

 塗ってみたら色が違う
プリズマカラーの塗装は、類似色を見分けやすいように塗り分けられている為に、見たままに外装色で選んで使ってしまうと、思ってた色と違う、といった場面が多々あります。

また生産ロットによっては、塗装色に若干の違いがあることも。買い足した同じ色を探しても違う色だと勘違いして見逃してしまいます。

 品質が悪い

現在のプリズマカラーはメキシコ製ですが、箱に凹みや擦れなどが多くみられ、外箱だけでなく、色鉛筆本体にも塗料剥げや傷があるものがあります。
使う分に問題ない点であればまだ良いのですが、木芯との間に隙間があったり、右の写真では色芯が木芯の中央からずれています。これらは使おうにもパキパキと途中で折れてしまって、その大半を無駄にしてしまいます。

さらに酷い例としては、色芯の中に別の色が混入していたとも聞きます。
青く塗っていたのに、突然赤色が途中で混じってきたりしては、作品も台無しです。

 単色買いがしにくい
苦労して通販で見つけた多色セットも、使っているうちによく使う色はなくなっていきます。するとその時には、無駄な送料と労力を払って補充しなければいけません。

 

 カリスマカラーが高いのには訳がある

カリスマカラー これらの点を改善すべく、プリズマカラー使用の色芯を仕入れ、状態の良いだけものを厳選し、日本国内の工場で最高品質に製造しているのがカリスマカラーです。

外箱はベロール社時代を思わせる、美しくディスプレイできるものに。さらには鉛筆削りや買い足した色も収納できる細かな気遣い。



そして刻印は煌びやかなゴールド仕立て。光沢のせいでちょっと読み辛いことがあるのはご愛嬌。

ただ残念なことに、カリスマカラーには全色セットは市販されておらず、72色セットまで。セットに含まれない色が欲しいときには、別途単色購入の必要があります。

 

 それでもプリズマカラーを買わないでほしい理由

外箱はいずれ使わなくなるし、見た目も当たり外れも多少は気にしません!となれば、安く買えるプリズマカラーを選びたくなります。

しかし、カリスマカラーを誰も買わなくなって売り上げが悪いとなると、もしかすると画材店など店頭に並ばなくなるかもしれません。店舗としてもスペースは限られていますから、できるなら売れる商品を置きたいですよね。

結果、我々としてもあとで補充したくとも不便になり、悲しい結末となります。
他にも色鉛筆の種類はたくさんあるし、ひとつなくなったところで問題はなく、それよりも目先の出費を抑えれる方がお得、とはご尤も。

ですが色鉛筆メーカーが各社切磋し、ユーザーが増えて、業界が潤い、今以上に手軽に購入できる環境が充実するならばお互いに良い行く末といえます。
そして…そうした時にはいつか、カリスマカラーでも全色取り扱われるかもしれません。

 

また、無許可で個人輸入代行として販売し、法外な価格で搾取している業者も見かけますのでくれぐれもご注意ください。

そうした不利益を被らないよう、あるいはお得に買えたとしても、商品購入の選択基準とは各人の自由であり強制されるものではありませんが、できる限り正規ルートでの購入をして頂けると嬉しいのです。

 


カリスマカラー  72色▶︎ f:id:kazuyuki_yae:20200818211328p:plain 48色▶︎ f:id:kazuyuki_yae:20200818211328p:plain 24色▶︎ f:id:kazuyuki_yae:20200818211328p:plain

 
今回はカリスマカラーについてのお話でしたが、世界には優れた美術画材としての色鉛筆が他にもありますので、あわせてこちらもどうぞ。